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所長挨拶

所長
        ご挨拶

公益財団法人 国際超電導産業技術研究センター

超電導工学研究所 所長  田辺 圭一

 超電導工学研究所(SRL)は(財)国際超電導産業技術研究センター(ISETC)内の我が国唯一の超電導専門の 本格的研究機関・施設として昭和63年 (1988年)夏の設立以降、初代・田中昭二所長、平成21年(2009年)2月からは 二代目・塩原 融所長のもとで超電導技術を活用した社会の実現を目指して研究開発を進め、輝かしい成果を上げて来ました。 また、平成24年(2012年)4月1日からは公益財団法人国際超電導産業技術研究センター内の超電導工学研究所として研究開発 を推進してきました。
 本年4月1日からは、田辺圭一が所長として、さらに研究所の発展を目指し、力を尽くして参りたいと存じますので、 今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。なお、塩原所長は3月末日に退任されましたが、 今後も超電導工学研究所の名誉所長として、引き続きご指導を頂けることは心強い限りです。
 超電導工学研究所では、高温超電導発見直後の昭和63年度(1988年度)から10年間に亘り実施された通産省(当時)主導 による「超電導材料・超電導素子」研究開発プロジェクト、平成10年度(1998年度)より第I期、第II期と10年に亘り経産省 から(独)新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)を通じて実施された「超電導応用基盤技術研究開発」プロジェクトの中で 、高温超電導材料の応用を目指した材料基盤技術の開発を進め、また平成20年度(2008年度)から、5ヶ年計画で引き続きNEDO殿 を通じ実施された「イットリウム系超電導電力機器技術開発」プロジェクトの中では、 イットリウム(Y)系超電導線材を 用いた超電導電力機器(SMES、ケーブル、変圧器)の実用化を目指し、Y系超電導線材の研究開発並びに国際標準化事業とともに 精力的に進めてきました。さらに、平成25年12月にスタートした経産省の「高温超電導コイル基盤技術開発」プロジェクト では、Y系超電導線材のMRIや重粒子線加速器などの医療応用マグネットをねらいとして、更なる高性能Y系線材及びその コイル化の研究開発を進めています。
 一方、薄膜電子デバイス分野への高温超電導応用に関しては、Y系を中心とした高温超電導材料を用いたデバイス、 プロセス技術、システムの開発を行っています。世界に誇る高度積層構造作製プロセスを用いた高感度磁気センサー (SQUID)の応用開発を進め、平成24年度には石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の委託により金属資源探査装置 実用機を開発すると共に、石油分野への応用を目指した開発も開始しています。また、平成21年度(2009年度)から開始 された(独)科学技術振興機構(JST)委託の「高温超電導SQUIDを用いた先端バイオ・非破壊センシング技術開発」では、 大学及びメーカーとともにバイオ検査装置等の開発を進めると共に、企業、大学との共同研究で非破壊検査や地震に伴う 地磁気変化計測への応用も目指しています。
 平成25年(2013年)7月から神奈川県川崎市高津区のかながわサイエンスパーク(KSP)にISTEC事務所が移転し、この移転 に伴い、超電導工学研究所の線材・パワー応用研究部は同かながわサイエンスパークに、物性・デバイス研究部は神奈川県 横浜市港北区の日吉研究所に移転しました。この移転を機に、研究開発に加え、材料、デバイス提供や材料評価などの請負 業務も開始しました。
   今後これまでの二十数余年の成果を踏まえ、我が国の成長戦略先端分野に位置づけられる高温超電導材料・技術の 本格的な実用化、産業化を目指した研究開発に、超電導工学研究所が中核となり、また国際協調のもとで積極的に取り組み 、環境・エネルギー分野、診断・医療分野や産業・輸送分野において、二酸化炭素 (CO2)排出削減、省エネルギー等を 含めた新しいエネルギー社会、また、安全・安心、健康・長寿の社会構築、我が国産業の国際競争力強化への貢献を目指し 専心努力を致す所存です。さらに、21世紀の新技術として若者に夢を与えられる成果やコンセプトの発信を目指していき ます。
 今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

(平成26年4月1日)