超電導写真・動画集
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超電導の特徴を実際に見てみましょう。
超電導磁気浮上
超電導体の上に磁石を乗せると、重い磁石が下に落ちないで、まるで重力に逆らうように浮いている状態になります。これは超電導特有の性質であるマイスナー効果によるものです。通常二つの磁石を近づけると、同じ極(NとN、SとS)が近づけば反発しあうし、異極(NとS)が近づけばくっついてしまうという現象がおきます。しかし、超電導状態になっていると、磁場が完全に超電導体から排除されます。このため、常に磁場を打ち消し合う方向に磁化されることになり反発しあう力が生じます。しかし、このマイスナー効果だけでは安定に浮上することはできません。 もう一つ重要な性質である「ピン止め」効果によって、超電導体の内部に入り込んだ量子化磁束の一部が"ピンで留めた"ように捕捉されることで、超電導体と磁石の位置関係が固定されて安定して浮上します。
超電導磁気浮上においては、超電導体と磁石の相対的な磁場分布が変化しない限りお互いに自由に動くことができます。(1)の永久磁石の浮上、(2)の大型磁石の浮上において、浮いている状態の磁石(円盤)が回転するのは、回転しても、磁石によって作られている磁場の分布が変化しないからです。
しかし、相対的な磁場の分布が変化するような上下左右の動きに対しては、大きな抵抗力が働くため、少しくらいの力では動かすことが出来ません。
(1)直径15cmの永久磁石の浮上
直径15cmの超電導バルクの上に強力な磁石を乗せた状態で冷却して超電導状態にすると、この動画でわかるとおり、浮上した状態が保たれます。
(2)大型磁石の浮上
さらに大規模な磁気浮上を見てみましょう。超電導バルク約100個を冷却し、その上に強力なマグネットを埋め込んだ円盤を乗せます。この重さが約60kgですがこの円盤は浮いています。さらに驚くことはこの円盤の上に人が乗っても、この円盤は下がることなく浮いたままです。人の重さを合わせて最高300㎏強の重量がかかっても沈みません。
磁気浮上実験 |
大型磁気浮上実験 |
フィッシング効果
(3) 吊り下げ
超電導にはさらに面白い効果があります。次の動画を見て下さい。木で作られた台の上に液体窒素を入れる容器があり、その中には超電導バルクが入っています。そして、その下には地球儀があります。地球儀の上には強力なマグネットがつけられています。そしてこの地球儀を乗せていたビーカーを取り除くと、なんと地球儀が空中にぶら下がった状態です。これは超電導バルクが地球儀の上の磁石を吊り下げているのです。このように超電導バルクが磁石を吊り下げる効果をフィッシング効果と呼んでいます。
フィッシング(吊り下げ)の |
(4) 浮上実験の応用
これらの効果を使って少し楽しめるものを作りました。ジェットコースターのおもちゃです。この「超電導コースター」の車両の中にはイットリウム系の超電導線を何本も入れてあります。強力な磁石を敷き詰めたレールの上を車両が浮いて走行します。
コースターの走行が速すぎてよく分かりにくいので、レール一本だけを取り出した「超電導ビークル」で実験しましょう。最初はレールの上で車両が浮いています。しかし、次第にレールを傾けて回転させても車両は落ちません。レールをさかさまにしても車両はフィッシング効果で吊るされています。
このデモ器はレールの上に車両を乗せてそれが端まで走行すると、バネで弾く仕掛けをしてあります。そのため、車両は超電導線が温まって超電導状態でなくなるまでは浮いて走り続けます。
実際にどのくらいレールから浮いているか、レールと車両の間隔が分かる写真を示します。
Q なぜ浮いて走るの?なぜ傾いても脱線しないの?
Q 超電導リニアも同じ原理で浮上しているの?